2015年02月28日

百円の恋

久しぶりに映画の話をしたいと思います。今日紹介する映画はこの映画。

poster2.jpg

【あらすじ】
実家にひきこもり、自堕落な生活を送る32歳の一子。離婚して子連れで戻ってきた妹とのケンカをきっかけに家を飛び出た彼女は百円ショップの職を得てひとり暮らしを始める。どうにか生活が軌道にのった頃、一子はボクシングジムで練習に励む狩野に恋心を抱く。


【感想】
 先に結論を言っとくと凄く良い映画ですよ。まあ何がいいかと言うとラスト30分(具体的にはボクシングに真剣に打ち込むシーンから)の興奮が凄かった。まず、この映画は基本的に出ている人間はほとんど負け組。主人公の一子もその一人。ただでさえ職もなく家を追い出されているのに男に裏切られ続け、負け組の最下層まで落ちる。でも、その反動でボクシングにのめり込むシーンは観ていて魂を揺さぶられたし、とんでもなく燃えた。あと音楽の使い方もうまくて“ダメなとき”“調子が良い時”の音楽の使い方がきちっと分けられている事がとても良かったし、この映画の最大の成功要因は安藤サクラの起用これに尽きると思う。本当に「ガチのボクサー!?」思ったくらい凄い変貌ぶりでしたね。これは来年の日本アカデミー賞で女優賞にノミネートは確実だと思う。表情と肉体で完璧な演技をしていましたね。
 で、あらすじとか見ていて「この映画、ロッキーぽい作品になるのかな。」と思って映画観ていたけど、ロッキーではなかった。確かにロッキーのオマージュだなと思わせるシーン(特に後半のボクシング練習シーンはロッキーのトレーニングシーンを思い出したり)もあるんだけど、それよりもオマージュを感じたのが「タクシードライバー」でした。



「タクシードライバー」って物すごく簡単にあらすじを語ると、どうしようもない男が女に惚れ付き合ってはみたけど別れて、その別れた腹いせを社会が悪いと考えて“世直し”をしようと思いたち、政治家を殺そうとしたり、街のダニどもを処刑したりするってそういう話。一子も同じである。男に裏切られ続け失意のどん底、自分の存在意義がなくなったとき、初めて「ボクシングしかない」と思いトレーニングに打ちこむ。だから、トラヴィスの“世直し”が一子にとっての“ボクシング”なのだ。この映画で髪を切ったシーンはまさにその象徴だったような気がする。
 ただ、ラストのボクシングの試合で「タクシードライバー」では描かれない部分をちゃんと描いている。タクシードライバーではトラヴィスは狂気に取りつかれたまま病院に運ばれ英雄になった。でも彼女は狂気が「正気」に戻る瞬間がくるのだ。その時に人間がどういう行動をとるのかラスト10分できちんと描いていて、そこが素晴らしい。一子がラストシーンで見せる涙はさんざん裏切られ、汚れきった過去の彼女からは想像できない綺麗な涙であった。去年の作品なのでまだ公開しているちょっと少ないかもしれないけどよかったら是非見ていただければと思います。

あと余談だけど、クリープハイプの「百八円の恋」はこの映画を観た後に聴くと、何倍もよく聴こえる。そりゃ「痛い」何回も言う訳だよ。


posted by ゴリさん at 21:44| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。